ゴート語メモ:代名詞:指示代名詞、関係代名詞

ゴート語
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指示代名詞

・性・数・格にしたがって語形変化する。

・中性の単数で具格形þē それによって)を持つが、使用はかなりまれ。

sa, þata, sō(それ、その)
SGPL
s-a サþ-ái サイ
þ-is スィスþ-izē スィゼー
þ-amma サンマþ-áim サイム
þ-ana サナþ-ans サンス
SGPL
þ-ata サタþ-ō ソー
þ-is スィスþ-izē スィゼー
þ-amma サンマþ-áim サイム
þ-ata サタþ-ō ソー
SGPL
s-ō ソーþ-ōs ソース
þ-izōs スィゾースþ-izō スィゾー
þ-izái スィザイþ-áim サイム
þ-ō ソーþ-ōs ソース
sah, þatuh, sōh(他でもないそれ、その)〔強意〕

・上記 sa, þata, sō +(u)h の構造。

SGPL
sah サフþáih サイフ
þizuh スィズフþizēh スィゼーフ
þammuh サンムフþáimuh サイムフ
þanuh サヌフþanzuh サンズフ
SGPL
þatuh サトゥフþōh ソーフ
þizuh スィズフþizēh スィゼーフ
þammuh サンムフþáimuh サイムフ
þatuh サトゥフþōh ソーフ
SGPL
sōh ソーフþōzuh ソーズフ
þizōzuh スィゾーズフþizōh スィゾーフ
þizáih スィザイフþáimuh サイムフ
þōh ソーフþōzuh ソーズフ
その他

・「この」を表す語幹 hi- が、hi-mma(男中・与)、hi-na(男・対)、hita(中・対)に残る。

jain-s, jain-ata, jaina イェーンス(あの)の語形変化は blinds(強変化だけ)に倣う。中性の単数主格・対格は -ata 形のみ

関係代名詞

・3人称は、指示代名詞 sa, þata, sō + ei(関係小辞)の構造。

3人称 saei, þatei, sōei
SGPL
sa-ei サイーþái-ei サイイー
þiz-ei スィズィーþizē-ei スィゼーイー
þamm-ei サンミーþáim-ei サイミー
þan-ei サニーþanz-ei サンズィー
SGPL
þat-ei サティーþō-ei ソーイー
þiz-ei スィズィーþizē-ei スィゼーイー
þamm-ei サンミーþáim-ei サイミー
þat-ei サティーþō-ei ソーイー
SGPL
sō-ei ソーイーþōz-ei ソーズィー
þizōz-ei スィゾーズィーþizō-ei スィゾーイー
þizái-ei スィザイイーþáim-ei サイミー
sō-ei ソーイーþōz-ei ソーズィー

人称代名詞 + ei の形もある模様。

 ← ik-ei(1人称), þu-ei(2人称) など。「~であるところの私」とかに使うのかどうか…。

 ←3人称代名詞 + ei の izei(<is-ei 男単主), sei(<si-ei 女単主)は、それぞれ saei, sōei の代わりに使われる。主格形のみ。単数にも複数にも使う。

参考資料

・高橋輝和(2023)『ゴート語入門 新版』白水社 初版:クロノス, 1982年刊

・千種眞一(1989)『ゴート語の聖書』大学書林

・Bennett, W. H.(1980)An Introduction to the Gothic Language. New York: The Modern Language Association of America.