古英語メモ:形容詞:一般的注意、強変化

古英語
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一般的注意

・形容詞は、かかる名詞の性・数・格にしたがって語形変化する。

強変化弱変化がある。変化は、単独で名詞を修飾するとき、または述語として使われる。一方、弱変化は、指示代名詞などの限定詞と共にあらわれる。

・強変化のみ、男性・中性の単数で具格をもつ。

・たいていの形容詞は強弱両方に変化するが、片方だけのものもある。

形容詞強変化

・以下のものは、強変化のみ行う。

eall(all)、fēaw(few)、ġenōg イェノーグ(enough)、maniġ マニイ(many)、oþer(other)など
til(よい)〔短〕
SGPL
til ティルtil-e ティレ
til-ne ティルネtil-e ティレ
til-es ティレスtil-ra ティルラ
til-um ティルムtil-um ティルム
til-e ティレ
SGPL
til ティルtil-u ティル
til ティルtil-u ティル
til-es ティレスtil-ra ティルラ
til-um ティルムtil-um ティルム
til-e ティレ
SGPL
til-u ティルtil-e ティレ
til-a ティラ
til-e ティレtil-e ティレ
til-a ティラ
til-re ティルレtil-ra ティルラ
til-re ティルレtil-um ティルム
gōd(good)〔長〕

・短語幹の til に対して、長語幹の gōd では、中性の複主対、女性の単主で -u がつかない。名詞の scip-u ⇔ word と同様。

SGPL
gōd ゴードgōd-e ゴーデ
gōd-ne ゴードネgōd-e ゴーデ
gōd-es ゴーデスgōd-ra ゴードラ
gōd-um ゴードゥムgōd-um ゴードゥム
gōd-e ゴーデ
SGPL
gōd ゴードgōd ゴード
gōd-e ゴーデ
gōd ゴードgōd ゴード
gōd-e ゴーデ
gōd-es ゴーデスgōd-ra ゴードラ
gōd-um ゴードゥムgōd-um ゴードゥム
gōd-e ゴーデ
SGPL
gōd ゴードgōd-a ゴーダ
gōd-e ゴーデ
gōd-e ゴーデgōd-a ゴーダ
gōd-e ゴーデ
gōd-re ゴードレgōd-ra ゴードラ
gōd-re ゴードレgōd-um ゴードゥム
glæd(glad)

・開音節で æ > a となる。

SGPL
glæd グラドglad-e グラデ
glæd-ne グラドネglad-e グラデ
glad-es グラデスglæd-ra グラドラ
glad-um グラドゥムglad-um グラドゥム
glad-e グラデ
SGPL
glæd グラドglad-u グラドゥ
glæd グラドglad-u グラドゥ
glad-es グラデスglæd-ra グラドラ
glad-um グラドゥムglad-um グラドゥム
glad-e グラデ
SGPL
glad-u グラドゥglad-e グラデ
glad-u グラドゥglad-e グラデ
glæd-re グラドレglæd-ra グラドラ
glæd-re グラドレglad-um グラドゥム
hēah(high)

・語尾の前で、語末の h が落ち、可能なかぎり約音。

SGPL
hēah ヘーアハhēa ヘーア
hēane ヘーアネ
hēanne ヘーアンネ
hēa ヘーア
hēas ヘーアスhēara ヘーアラ
hēarra ヘーアッラ
hēam ヘーアム
hēaum ヘーアウム
hēam ヘーアム
hēaum ヘーアウム
hēa ヘーア
SGPL
hēah ヘーアハhēah ヘーアハ
hēah ヘーアハhēah ヘーアハ
hēas ヘーアスhēara ヘーアラ
hēarra ヘーアッラ
hēam ヘーアム
hēaum ヘーアウム
hēam ヘーアム
hēaum ヘーアウム
hēa ヘーア
SGPL
hēah ヘーアハhēa ヘーア
hēa ヘーアhēa ヘーア
hēare ヘーアレ
hēarre ヘーアッレ
hēara ヘーアラ
hēarra ヘーアッラ
hēare ヘーアレ
hēarre ヘーアッレ
hēam ヘーアム
hēaum ヘーアウム
ġearu(準備のできた)

母音ではじまる語尾の前で u >w子音で始まる語尾の前で u >o となる。

SGPL
ġearu イェアルġearw-e イェアルウェ
ġearo-ne イェアロネġearw-e イェアルウェ
ġearw-es イェアルウェスġearo-ra イェアロラ
ġearw-um イェアルウムġearw-um イェアルウム
ġearw-e イェアルウェ
SGPL
ġearu イェアルġearu イェアル
ġearu イェアルġearu イェアル
ġearw-es イェアルウェスġearo-ra イェアロラ
ġearw-um イェアルウムġearw-um イェアルウム
ġearw-e イェアルウェ
SGPL
ġearu イェアルġearw-e イェアルウェ
ġearw-e イェアルウェġearw-e イェアルウェ
ġearo-re イェアロレġearo-ra イェアロラ
ġearo-re イェアロレġearw-um イェアルウム
wilde(wild)

・-e で終わるもの。この場合は -u が入る模様。

SGPL
wild-e ウィルデwild-e ウィルデ
wild-ne ウィルドネwild-e ウィルデ
wild-es ウィルデスwild-ra ウィルドラ
wild-um ウィルドゥムwild-um ウィルドゥム
wild-e ウィルデ
SGPL
wild-e ウィルデwild-u ウィルドゥ
wild-e ウィルデwild-u ウィルドゥ
wild-es ウィルデスwild-ra ウィルドラ
wild-um ウィルドゥムwild-um ウィルドゥム
wild-e ウィルデ
SGPL
wild-u ウィルドゥwild-a ウィルダ
wild-e ウィルデ
wild-e ウィルデwild-a ウィルダ
wild-e ウィルデ
wild-re ウィルドレwild-ra ウィルドラ
wild-re ウィルドレwild-um ウィルドゥム

参考資料

・近藤健二・藤原保明(2003)『古英語の初歩』(英語学入門講座第4巻)荒木一雄監修, 英潮社.

・Mitchell, B., Robinson, F. C.(1992)A Guide to Old English, Fifth Edition. Oxford: Blackwell Publishers Ltd.